遥かなる佐世保 2日目 その②

さて、時刻はPM1:12をまわった。

んっ?ちょっとまって、まだ大阪からちょっとしか走ってなさぁ、本日も折り返しだ。張り切って行こう。

あまりにもゆったり空気過ぎて思いの外滞在してしまったが、なに、案ずることはない。

今日はまだ半分もある←

 

 

喫茶店の店主、そして土産物屋のおじさま情報を統合すると、ここ鞆の浦から海沿いにぐるりと走れば尾道に出るらしい。

道中ひとつ山を越えるとの事だが、所要時間は30分。とすると1時半後には尾道がこんにちわである。

つまり昼食はアレで決まりだろう。

 

広げた地図をバッグにしまいこみ、お留守番を経て太陽光をいっぱいに吸い込んだライダースジャケットを羽織る。よし、暑い。

炎天下を走り回ってはいるが、オーバーヒートの懸念もなんのその。セルも一発始動、タイガーの機嫌もよさそうだ。

焦がれた街の雰囲気、そして地域の人々とのふれあい・・・

正直なところ、名残惜しい。なぜならまだこの街の深いところまで踏み込んでいない。滞在時間、2時間足らず。もう表面をさらりと撫ぜた程度である。

もっと色々見たかったけれど、しかし私は旅人の身。そう、今回の目的地はあくまでも佐世保。

さらば鞆の浦・・・!

おじさまにお礼とともに敬礼を送ると、車通りの少ない鞆の街にタイガーと共に走り出した。

 

 

 

~1時間後~

 

 

 

尾道が出てこない(白目)

 

とても麗らかな小川沿いの道を走り、おそらくはこれだろうという山も越えた。

しかし出てこない。目の前にはのどかな道が続いている。嗚呼、ナビが欲し一度グーグル先生に位置を確認してみようか────

そう逡巡していると、なんとなく見たことのあるような既視感にふっ、ととらわれた。

ん?おっ?なんか見たことある気がする・・・去年この辺りを走ったような・・・

 

と思っていると完全に見たことのある景色が目の前に広がった。・・・そう、そうだ。ここだ。これが尾道だ。駅前へ続く道だ。

昨年は空路で。そして今回は陸路で訪れた。1年ごしとはいえ、懐かしさと達成感が入り混じりむずかゆい嬉しさが胸にこみ上げる。

やはり愛車と共に走るとまた景色が違って見えるものだ。郷愁に似たこの気持ち────そう、今まさに自分はノスタルジック街道をひた走っているのである。

 

さて、時刻は14:00を回っているが────

 

いや、悩む事など何もない。ふふ、まったく、らしくないじゃないか。何を迷っていたのだろう。

こんなに良い天気のもと、美しい瀬戸内を望む港町にたどり着いたのだ。島に渡るとまで言わずとも、ここまで来て少しも寄らないのは嘘であろう。

寄り道こそツーリングの醍醐味だ。さぁ、今から最高の贅沢を楽しもうじゃないか。

 

 

 

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そんな訳で市営の駐車場に停めさせていただいた。

(というか尾道駅前に駐輪場が皆無で凄くうろうろした。嗚呼、もっと世の中に2輪駐車場増えないものだろうか)

 

しかし流石は観光地というべきだろう。駅前にいくつかある駐車場もほとんど満車、歩道を見れば観光客でにぎわっている。

お盆真っ只中、カンカン照りの港町。猫もいる。山の斜面には神社が数多く建ち並び、山頂に上がればこの街を見下ろせる展望台。耳を澄ませば聞こえる海鳥の声、汽笛の音。島と島をつなぐ橋はしまなみ街道と呼ばれ、サイクリングも盛んだ。そして猫がたくさん居る。なんだ最高か。

 

この駐車場から駅前、そして繁華街は少し離れている。今から尾道観光に出れば、おそらくは数時間は荷物から離れることになる。

まぁ別に盗るものも何も中身スッカスカ少し迷ったが荷物は置いていくことにした。暑すぎるのでジャケットも脱ぐ。

とめどない汗によって黒シャツがいまや完全に塩昆布状態ではあるが、着替えが1着(夜用)しかないのでこのまま行くことにする。なに、登山をしてきたと思えば別段、おかしいことではないであろう(山を見つめながら

 

 

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駅前に着いた。

 

この山の上にある凄く気になる城は尾道城。1964年に博物館として建てられた、この山の上にある千光寺公園の天守閣風の建築物とのこと。博物館なんですね。

駅前は開けた広場になっており、この写真の反対側はスクランブル交差点のように道路がいっぱい交差している。その向こうには瀬戸内の海、そして島々が広がっているのだ。

なんかもうこの雰囲気がたまらない。

 

 

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これは「渡船」乗り場だ。名前の通り、反対側の島に渡るための船に乗れる。徒歩で。(空を見上げながら)

自転車、車でも乗れる。まるで横断歩道のように渡れる。島で暮らす人々のための船、それが渡船だ。

そう、昔見た某アニメーション、か●ち●で主人公が通学に使っていた船を見た時に「なんて素敵なファンタジーなんだ」と思っていたら現実の話だった。なんてこった。現実がファンタジーだった。

 

渡船は歩行者100円。

乗らない理由が見当たらないとても乗りたいが今日の目的地は佐世保という現実が冷静な判断を促している。ここは我慢だ。

そう、冷静にならなければならない。

時間は有限である。すでに時刻は2時をまわっている。ランチタイムも残りあと僅かだ。タイミングという言葉が脳裏をゆっくりとよぎる。

ランチタイムと言えば────

良く思い出してほしい。今日は起きてからほとんど何も食べていないという事実を。

鞆の浦で何か食べれば良かっもっと自分は成すべき事があるではないか。それを忘れてはいけない。

 

 

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気がつけば1件のお店の前に来ていた。さくらやさんだ。

実は昨年尾道を訪れた時にもこちらで食べたのだが、その時の味が忘れられずに訪れた2度目の尾道である。完全にノリと勢いだけでここまで来た自分、お腹もガス欠寸前という体たらく。そして目の前にはおいしそうな匂いのするお店が開いている。今ここで入らない理由があるだろうか。

迷うことなくガラリと引き戸をあけて中へ。

お昼を過ぎているとはいえ、なかなかお客さんが入っているようだった。食券を買い入口近くの席へ腰を落ち着ける。すぐ横で扇風機がぐるぐる回っているのだが、それもまたノスタルジックで素敵だ。

 

 

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尾道ラーメンが到着した。

2度目のご対面である。あの日のときめきよこんにちは。今自分は高鳴っている。さぁカラッポの体に迎え入れようじゃないか、最後の1滴まで────

まずはスープを一口。

思わず口元がゆるむ。・・・旨い。

背油こってりな見た目とは裏腹にシンプルであっさりとした味わい。縮れ麺が醤油のスープによくからみ、しゃくしゃくと歯切れの良いネギが旨みをひきたてている。柔らかく煮込まれたチャーシューをほお張り、そこに麺とスープを放り込む。ああまったく、また尾道に来たんだなぁ(目をゆっくりと閉じる)

 

 

食べながら考える。

折角だから尾道にも寄りたい。そして尾道ラーメンを食べた。時刻は2時、本日の目的地は佐世保である。

さて、これからどうしようか?

 

 

続く

 

 

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