看板製作ではデザインや配色に注目しがちですが、皆さんは看板の塗料について考えたことはありますか?
看板用塗料(ペンキ)にはさまざまな種類があり、どの塗料を選ぶかで仕上がりや耐久性、価格に大きな違いが生じることもあるのです。
看板は建物と同じで、一年中外気や雨風にさらされるものなので、ある程度の耐久性が必要なのは言うまでもありません。
「それなら、耐久性がある油性塗料を使うのがベストなのでは?」と思う方もいるかもしれませんね。
実際のところはどうなのでしょうか。
今回は、看板製作で用いられる塗料(ペンキ)の種類について解説していきます。
「油性塗料と水性塗料の違いは?」「おすすめなのはどっち?」といった疑問を解消していきましょう!
看板製作で使用される塗料は2種類に分けられる!
塗料には、物に色を付けたり、光沢を与えたりする役割があります。美観機能以外にも、傷を防止する、汚れや紫外線から保護するなどの機能も持つため、長期間看板を掲げるのに重要な役目を果たすものなんです。
看板製作で使用される塗料にはさまざまな種類がありますが、そのどれもが「油性塗料」と「水性塗料」のいずれかに分類されます。まずはそれぞれの特徴を比較してみましょう。
| 油性 | 水性 | |
| 希釈 | 有機溶剤(シンナー) | 水 |
| 耐久性 | 非常に高い | 製品によるが油性よりやや低い |
| 価格 | やや高い | 製品によるが油性よりやや安価 |
| 環境・人体への影響 | 大きい | 少ない |
| 臭い | 強い | 少ない |
| 危険物 | 該当する(保管場所に制限あり) | 該当しない |
| ツヤ | 良い | 普通 |
| 落とし方 | シンナー、洗剤で洗う | 水で洗う |
以下で詳しく解説していきます。
油性塗料はツヤが出る密着性の高い塗料

油性塗料は希釈に有機溶剤を用いる塗料で、広く「溶剤系塗料」と呼ばれているものです。
希釈に用いる溶剤によって、「強溶剤塗料」と「弱溶剤塗料」に分けられます。強溶剤にはアクリルシンナーやラッカーシンナーなどが、弱溶剤には塗料用シンナーが用いられるのが一般的です。
メリット
油性塗料の最大のメリットは、対候性・耐久性に非常に優れており、屋外で使用しても長持ちする点です。密着性が高く看板の素材を問わず塗布できる、ツヤのある仕上がりになる、といった特徴もあります。
また、乾燥スピードが気温に影響されにくいため、気温が低い環境でも乾燥させることが可能です。通常は6時間程度、強化剤入りのものは3時間程度で乾燥します。
デメリット
シンナー特有のきつい臭いが生じること、引火性があることなどがデメリットになります。手や服などに付着すると落としにくいことも欠点です。取り扱いが難しく使用量によっては規制対象になるため、油性塗料を看板に用いる場合は専門業者に依頼する必要があります。
水性塗料は臭いが少なく安全性の高い塗料

水性塗料は希釈に水を用いる塗料で、近年家庭用塗料として、またDIYでの塗料として需要が高まっているものです。
メリット
シンナーを用いない分、臭いが少なく引火する心配がないのがメリットになります。作業時にきつい臭いを発しないので、保管しやすく近隣トラブルに発展しにくいのも利点です。
デメリット
デメリットとしては、油性塗料よりも若干耐久性が低いこと、下地や素材によっては塗装できない場合があることなどが挙げられます。鉄などの金属には使用できない製品も多いため、金属に使用する場合は鉄部用塗料を選ぶ必要があります。
乾燥後は耐水性を発揮しますが、乾燥前は水に弱い性質を持つため、雨天時に屋外で塗装作業ができない点にも注意が必要です。乾燥時間は油性塗料よりも長く、完全乾燥まで2週間程度要することもあります。
参考:塗料のキホン「水性塗料・油性塗料の違い」|アサヒペンHow to Make|アサヒペン
看板製作におすすめなのは油性?水性?使い分けを解説します!

油性塗料と水性塗料を比較すると、メリット・デメリットに大きな違いがあります。
では、看板製作に向いているのは、油性塗料なのでしょうか。それとも、水性塗料なのでしょうか。
結論からいうと、用途や使用場所によって向き不向きが異なるため、どちらが正解!とは一概には言えません。ここでは、油性塗料と水性塗料の使い分けについて解説していきます。
国が推奨するのは低VOC塗料や水性塗料
近年、看板製作のみならず、多業種で水性塗料が普及しつつあります。というのも、多くの油性塗料には、人体や環境に影響を及ぼす揮発性有機化合物(VOC)が含まれているからなんです。
VOCとは、蒸発しやすい有機化合物の総称をいい、大気汚染や光化学スモッグの原因として問題視されています。シックハウス症候群や化学物質過敏症の原因物質でもあるため、VOCが多く含まれる塗料は人体への影響も大きくなります。
VOCは油性塗料以外にも含まれていますが、塗料の占める割合は非常に大きいです。

上記の資料では、塗料からのVOC排出量がもっとも多いことが分かります。推計結果年をさかのぼると、年々排出量が減少してはいるのですが、他品目と比べて多いのは否めません。
実際、環境省をはじめ各自治体でもVOC削減への取り組みが進んでおり、低VOC塗料や水性塗料への切り替えが推奨されています。
具体的な対策として、容器に以下の表示がある塗料を選ぶことが挙げられます。
- 低VOC塗料(VOCの含有量が30%未満)
- ・トルエン、キシレン不使用(またはノン~、~ゼロなど)
- ホルムアルデヒド不使用(もっとも等級が高いのはF☆☆☆☆)
- 水性塗料、水性ペンキ、水性ラッカー、水性スプレー
水性塗料はVOCが5%以下、もしくは1%以下の製品がほとんどなので、VOC対策の観点からみると理想的な塗料といえます。
ただし、水性塗料の中でもテキサノールや1-メチル-2ピロドリンが含まれる製品は推奨されていません。水性塗料を選ぶ際も、成分をしっかり確認しましょう。
参考:東京都健康安全研究センター » 塗装工事中の空気中VOC濃度について
VOC含有量を考慮したい用途・場所

こうした背景もあり、看板製作で用いる塗料やペンキは、低VOCの油性塗料や水性塗料を選ぶのがおすすめです。水性塗料の中には、VOC含有量を考慮したい用途・場所での使用に最適なゼロVOC塗料もあります。
特に、以下の用途・場所で設置される看板においては低VOCや水性塗料が適しています。
- テナントビル内の企業、店舗看板
- 地下街や駅構内にある店舗看板
- 地下にあるライブハウスやバーの看板
- 建物が密集する商店街や住宅街の屋外看板
- 案内板や内装看板などの室内サイン
上記は、ほとんどが密閉空間であり、塗装中や作業後の換気が難しいことから、塗料に含まれる成分や臭気の影響を受けやすくなります。VOCは、塗装時だけでなく塗装後も蒸発して大気中に放出されることがあるため、VOC製品を看板に使用した場合は十分な換気が必要です。
ですので、基本的には、屋外で塗装作業をする場合や、屋外に設置する看板を除き、水性塗料の使用が望ましいといえるでしょう。
SNSでも、「油性塗料の臭いがきつい」という投稿を多く見かけます。換気がしにくい密閉空間で使用した場合、体調不良やクレームにつながるため注意しましょう。
看板製作で油性塗料を使用するケース
鉄などの金属部分に塗装する場合や、雨風の影響を受けやすい屋外の看板塗装を行う場合は、油性塗料が使用されるケースもあります。
油性塗料には強溶剤と弱溶剤の2つがありますが、弱溶剤塗料の方が人体や環境への影響が少ないです。そのため、多くの塗料メーカーが弱溶剤塗料の開発を進めています。
看板製作で油性塗料を使用する場合は、VOC対策も考慮し、弱溶剤塗料を選ぶのがおすすめです。
最近では、臭いがない、100%自然素材の油性塗料も人気があるようです。
ただし、シンナーやラッカーが含まれる油性塗料は危険物とみなされるため、消防法で規制されます。消防法では、指定数量以上の危険物を保管すること、取り扱いが禁止されているため、届出が必要です。
指定数量以下であっても、保管する場合は市町村条例の規制対象となるので取り扱いには十分注意しなければなりません。
規制の概要については、以下を参考にしてください。
| 数量 | 位置・構造・設備 | 届出 | 貯蔵取り扱いの基準 |
| 指定数量以上 | 消防法で規制 | 必要 | 消防法で規制 |
| 指定数量の1/5以上 | 条例で規制 | 必要 | 条例で規制 |
| 指定数量の1/5未満 | 規制なし | 不要 | 条例で規制 |
シンナーやラッカーは、第4類代石油類(非水溶性液体)に該当するため、指定数量は200リットルになります。
また、労働安全衛生法では、屋内作業に限りエチルベンゼンなどが規制対象となっています。
取り扱い要件が細かく定められているため、塗装業者は遵守しなければなりません。
参考:厚生労働省|(PDF:リーフレット「塗装業者のみなさまへ」 )
まとめ
今回は、看板製作で使用される塗料について、油性塗料と水性塗料の2種類に分けて解説しました。それぞれ違ったメリット・デメリットがあるため、希望する仕上がり(ツヤ)や用途、看板の設置場所によって使い分けが必要です。
水性塗料は看板には向かないのでは?と思う方もいらっしゃるでしょう。水性塗料でも、乾燥後は塗膜が形成されるため、雨に濡れても簡単に落ちる心配はありません。ですので、水性塗料の使用を前向きに考えていただければと思います。
弊社・オーエスアートでは、屋外広告士監修のもと、東京・神奈川・埼玉・千葉のエリア
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